半世紀経てもなお

 


 

福岡演習林で発生したマツ枯れです。

立派なアカマツでしたが、昨年の夏に突然赤く枯れました。


「マツ枯れ」、正式には「マツ材線虫病」と呼ばれるこの病気、

樹木病害としては、日本の森林防疫史上最悪の被害です。

昭和・平成・令和と時代が移った今でもマツを枯らし続けています。

とくに被害の大きかった1970~1980年代、

これまた激害地であった山陽地方で幼~少年期を過ごした私は、

「マツは当たり前に枯れる木」と思っていました。

枯マツ材内にいるマツノマダラカミキリ(上:幼虫、下:成虫)

ところで、この枯マツ、ただ枯れているだけでなく、病気の感染源となります。

そこで枯れマツを伐って、病原(マツノザイセンチュウ)の媒介者(マツノマダラカミキリ)を駆除します。

「伐倒駆除」と呼ばれる防除手法です。

枯れたマツを切り倒し


幹と枝を短く刻んで



丁寧に積み上げます。

そして、殺菌・殺虫作用のある薬剤をかけて、シートで覆い燻蒸します。


2週間の燻蒸を経て、材内のマツノマダラカミキリ(幼虫)をほぼ完ぺきに駆除できます。

ただし、幼虫が蛹になると殺虫効果が薄れるので、春の伐倒駆除(燻蒸処理)は時間との勝負となります。

3月から順次、構内敷地で20数本の枯れマツを伐倒駆除しました。

この辺りでは昭和~平成間で多くのアカマツが枯れて無くなったと思われます。

一方、1本1本狙い撃ちにする伐倒・燻蒸処理は駆除効果は高いものの手間がかかります。

そのため枯れマツが多いと手がつけられません。

しかし、皮肉なことに残ったマツが少なくなり、手が回るようになりました。

何とかカミキリの発生前までに駆除を終わらせてホッとしました。

私自身、仕事について四半世紀が過ぎますが、長くマツ枯れに関わってきました。

日本中に拡がったマツ枯れに対して、森林での防除効果は限られています。

それでも、「できることからやっていく」。きわめて基本的なことですが、そうした地道な努力もまた大事なことと最近感じます。

2022.5.26 D.O




サクラ図鑑

  演習林の「かすや樹木園」では,国内外のたくさんの樹木を見ることができます。なかでも春に咲く「サクラ」は3月から4月まで楽しむことができ,華やかな気持ちにさせてくれます。今回はその中から10種をご紹介します。

 残念ながら現在はコロナ禍のため,一般の方の見学は出来ませんが,写真を見比べてお楽しみください写真をクリックすると拡大されます)

2022.04.08 kubota

 

マメザクラ Cerasus incisa (Thunb.) Loisel. var. incisa

 

ソメイヨシノ Cerasus x yedoensis (Matsum.) Masam. et S.Suzuki

 

ヨウコウPrunus 'Yoko'
 

カワヅザクラ Cerasus × kanzakura ‘Kawazu-zakura’

 

カンヒザクラ Cerasus campanulata (Maxim.) Masam. et S.Suzuki

 

オカメ Prunus 'Okame'

 

オオシマザクラ Cerasus speciosa (Koidz.) H.Ohba

 

サトザクラ Cerasus Sato-zakura Group

 

ヤマザクラ Cerasus jamasakura (Siebold ex Koidz.) H.Ohba

 

カンザン Prunus 'Sekiyama'

春を探して

 3月21日は春分の日でした。「自然をたたえ、生物をいつくしむ日」とも言われているそうです。

だんだん暖かくなって、木々や草花が芽吹き始める季節・・・なんですが、まだ肌寒さが少し残っていますね。春はやってきているのかしら?と思って、演習林内のかすや樹木園内を散策してみました。


小一時間ほどの散歩でしたが、非常に多くの植物の花や芽吹きを見ることができました。

いつ、どの植物が花や実を着けているかや、葉っぱを開くかといった情報は、森林の成り立ちや、将来的な変化を知る上で重要です。野外を散策する際は、是非、いつ、どこで、どんな生き物で、何が起こっているかを気にしてみてください。

皆さんの日々の観察が、いつか重大な科学的発見につながるかもしれません。


2022/3/21 kusumoto



演習林でよく見る動物は?

先週,森林調査実習Ⅱの実習がありました。

実習の中に「技術職員へのインタビュー」というものがあり、演習林の概要から仕事の内容、プライベートなこと(?)まで、学生の皆さんから色々と質問を受け、1年の仕事の振返りをしているような、自分にとっても新鮮な時間でした。

さて、学生さんによく聞かれる質問のひとつに「演習林ではどんな野生動物に遇いますか?」というものがあります。せっかくなので、こちらでご紹介したいと思います。

遭遇頻度の感覚としては、

シカ >>>>>>>>>>>> イノシシ >> アナグマ > その他

という感じです。とにかくシカが多いです。

シカとの遭遇① 車で林道を走っているとき↓

シカとの遭遇② 雑木を伐ったあと木の葉を食べにくる↓

シカとの遭遇③ 少し離れたところでこちらの作業の様子を見ている↓

シカとの遭遇④ センサーカメラに毎日写る

シカとの遭遇⑤ わなに掛かっている

シカとの遭遇⑥ 枝打ちしようとしたら丸くなって座っていた(聞いた話)

などなど。福岡の山で仕事をしていると、こんなにも多くのシカに遭遇するんだなぁという感じです。そしてやはり、下層植生は貧相です。草本植物はマツカゼソウばかり目につきます。

森林調査実習Ⅱでは、例年なら演習林で直接学生さんにお会いできるのですが、新型コロナウイルスの影響により今年度はオンラインでのインタビューとなりました。

来年は演習林でお会いできるといいなと思います。

ちなみに、その他の動物はタヌキやテン、ノウサギ、キツネ、ムササビなどです。福岡演習林ホームページのデータベース内に写真付きで紹介していますので、ぜひご覧ください。

2022.02.28 muramatsu


巣植試験地の間伐

 演習林では、多様な林分構造をもつ森林の形成や適切な管理のため、伐採作業を行っています。今年度は、久山町に位置する15林班内で間伐作業を実施中です。

 この伐採地は、一般的な造林地とは少し異なり、巣植えという方法で植付が行われました。

 巣植えとは、1ヶ所に数本の苗木をまとめて植える方法で、下刈り等の保育作業の省略化や風雪被害の緩和が期待できます。

 伐採前は、少し窮屈な印象を受けます。中には、隣の木との成長競争に敗れて、枯れているものも見られます。
 成長や形質の悪い木を伐採します。残された木は、隣の木と取り合っていた養分や日の光を吸収し、すくすくと成長します。

 伐採前の林冠。枝葉で覆われ、空がほとんど見えません。

 伐採後の林冠。隙間がだいぶ空いて、林内にも光が差し込みます。

2022.01.12 murata