4月下旬、林内を歩いていると、ふと誰かに見られているような気配を感じました。気配を感じた先に目を向けると、直径40㎝程のヤマモモがあり、幹が縦に大きく裂けています。その裂け目から、黒いビー玉のような目玉が2つ。フクロウです。慌ててカメラを向けましたが、樹洞から飛び出したフクロウは、林内を滑るように飛び去っていきました。シャッターチャンスを逃し呆然としていると、先ほどの木の裂け目の奥で、何やら白いふわふわの物体が動いています。どうやら、このヤマモモの樹洞でフクロウが子育て中だったようです。邪魔にならないよう、センサーカメラを設置し、子育ての様子を観察させてもらうことにしました(撮影期間:4/23~5月末)。
親鳥はせっせとエサを運び、狭い巣の中になんとか体をねじ込んでヒナにエサを与えています。通常フクロウは2~4個の卵を産みますが、今回確認できたヒナは1羽だけでした。
ヒナが巣の中で羽ばたく練習をしたり、巣の外に出ようと樹洞の壁をよじ登る姿が頻繁に見られます。フクロウのヒナは卵から孵ると、ひと月程で巣立つそうですが、どうやら、このヒナは巣立ちが近いようです。
ついにヒナが巣の外に姿を現しました。全身がふわふわの毛で覆われています。
この動画が撮影された翌日(4/29)を最後にヒナはカメラに映らなくなりました。まだまだ幼さの残る姿で、上手に飛べないヒナですが、巣を離れ、親鳥から飛び方やエサの獲り方を学び、秋には独り立ちしていきます。
つい先日も林内を歩いていると、ふと視線を感じました。もしかすると、この親子が高い木の枝から、そっとこちらの様子を窺っていたのかもしれません。
2024.6.12 murata