かすや資料館の紹介

 つい先日まで日中の気温が20℃を超える日もあり、「12月なのに暑いな」と文句を言いながら上着を脱ぎ捨て外仕事をしていましたが、今は若杉山の頂上に雪が降り積もるのを眺めながら、暖房の効いた事務所で当記事を書いています。

 今年も残すところ10日程となり、新年を気持ちよく迎えられるよう、福岡演習林の敷地内にある「かすや資料館」の大掃除を行いました。

かすや資料館

「かすや資料館」では、福岡演習林だけでなく、宮崎演習林や北海道演習林、戦前に日本各地や国外演習林で収集した資料を展示しています。

 現在、展示物のリストも大掃除中で、整理でき次第、当ホームページ上で一部リストを公開したいと思います。ひとまず、当記事では、「かすや資料館」で展示している資料を大まかに紹介します。 

錯葉標本
錯葉標本
 錯葉とは、植物の葉や枝を平らに押して乾燥させた標本のことです。
 
 3演習林(福岡、宮崎、北海道)と、かつて九大が所有していた国外演習林(樺太、北朝鮮)で採取した錯葉、全5,000点以上の中の一部を展示しています。

種子標本
 日本各地の種子を約200点展示しています。その多くが1920年代、今から約100年前に採取されたもので、1番古いもの(オオシラビソとナンキンハゼの2種)は1898年に採取されています。

材鑑標本
 写真の右側は、3演習林の主要な樹種を、木目を観察しやすいよう直方体に加工したものです。
 左側は、福岡演習林内の「里山林動態モニタリング試験地」を2014年に伐採した際に、採取した円板で、演習林の学生の研究で利用されました。

円板標本
 戦前に国内外から収集した幹の円板です。大きいものは人の背丈ほどのサイズがあり、この太さの木が立っている姿、そして、その木を切り倒す様子を想像すると圧倒されてしまいます。

剥製標本
 福岡演習林内に生息している動物たちの剥製です。手前の3頭はよく似ていますが、左から、アライグマ、アナグマ、タヌキです。この他にも、シカ、イノシシ、キツネ、テンの剥製を事務所玄関で展示しています。


 ここまで紹介した通り、「かすや資料館」は植物の標本が非常に充実しています。一方で、動物の標本は展示数も少なく、肩身の狭い思いをしているように感じました。
 そこで、今年の夏、ライトトラップ調査を実施し、昆虫の採取、標本作製に取り組みました。しかし、思ったように昆虫は集まらず・・・、動物標本勢の地位向上はまだまだ先になりそうです。

昆虫標本(作製中)
 写真の右側は、主にライトトラップで採取した甲虫をまとめています(Kさん作製)。中央の翅を広げたカブトの躍動感が目を引きます。
 左側は、蛾を展翅(翅を広げ、形を整えて乾燥)しているところです。

 来年こそは、完成した昆虫標本が「かすや資料館」に並びますように。

 それでは、皆様良いお年をお迎えください。

2023.12.21 murata